内容説明 |
プラド音楽祭でのライヴ。プラド音楽祭は1950年から毎年開かれたが、コロンビア社の資金難や意向、カザルスたち演奏家同士の意向が衝突するなど、次第に運営が困難になっていく。1957年にカザルスがプエルトリコに本拠を移して以降は、この地でカザルス自身が音楽祭を開催した。そして1960年からは、カザルスはルドルフ・ゼルキンが主宰するマールボロ音楽祭に参加し、演奏家、指導者としてオーケストラを指揮し、録音もするようになる。カザルスの最後のプラド音楽祭出演は90歳記念の1966年だった。
当盤はカザルスによるバッハの宗教曲という実に貴重な音源。音源データによると、第2部のアルトのアリア「Es ist Vollbracht」ではカザルスがチェロを弾いているそうである。
カザルスは、「管弦楽組曲」や「ブランデンブルク協奏曲」をはじめ、バッハ作品を数多くスタジオ録音しているが、「ヨハネ受難曲」は正規の録音を残さず、当盤が現在確認されている唯一の録音と思われる。カザルスのバッハについては、プエルト・リコ・カザルス音楽祭O.との「マタイ受難曲」(1963年6月16日 ニューヨーク、カーネギーホール)の音源も残されている。モノラル録音。
|